みなさんおなじみの「ユニクロ」を展開しているファーストリテイリングの株がストップ…

■みなさんおなじみの「ユニクロ」を展開しているファーストリテイリングの株がストップ安とのこと。繊維製品業界が政府に緊急輸入制限措置(セーフガード)を申請するせいだ。繊維製品業界は中国からの安価な輸入品を阻止するため、政府にすがろうとしている。自社ブランドの衣料を中国で製造しているファーストリテイリングにとって、制限措置の発令はそのままコスト増となる。製造から小売まで一貫して手がけるビジネスモデルで急成長し、僕らに安くて品質の良い衣料を提供してくれている企業が、既得権を守ろうとする業界団体に「報復」を受けようとしている。こんなことに納得できるか。厳しい競争に勝ちぬいた企業が罰せられ、経営努力をおこたった企業が政府の保護をうける。日本はこうして企業家のやる気をそぎ、日本経済はますます閉塞感を強める。
■ここのところ鈴木重子の『Premiere』(accent graveが入力できない)と『Just Beside You』を聴き比べていた。彼女の歌のコンセプトがこの数年間で明確になったことがよく分かる。ファルセットで眠るように歌い続けるのが彼女独自のスタイルというわけだ。
■読者からのメールでフェイ・ウォンの新譜がこの10月に発売されていたことを初めて知るとは不覚だった。さっそくその新譜『寓言(fables)』を聴きこんでみた。Fablesと言えば古くはギリシア時代のイソップ物語(Aesop’s Fables)であり、フランス語出身の僕としてはラ・フォンテーヌのLes Fablesでもある。1曲目から5曲目までがフェイ自身の作曲で、林夕の謎めいた詞、そしてストリングスを多用したかなり仰々しいアレンジで、アルバムの前半部分だけが「コンセプト・アルバム」になっている。時間と忘却、宗教的な祈りと個人的な恋愛体験がコンセプトで、1曲目のタイトルからして『カンブリア紀』。そのくせ歌詞にはなぜかシンデレラや星の王子さまが登場するのだから相当の意欲作だ。編曲の仰々しさも「寓話」が本質的にもっているデフォルメの性格を表現したいのだろう。いずれにせよ詞や編曲はフェイのものではない。彼女の作曲と歌唱を楽しめればそれでよいのだが、コンセプト指向で曲調が単調な分、彼女らしい多彩な歌声を聴くことができない。インターネットのファンサイトを検索してみると『寓言』はかなり評価が高いのだが、コンセプトがいくらよくできていて、歌詞に謎解きの楽しみがあったとしても、彼女のボーカルの多様性が楽しめないなら本末転倒なわけだ。歌詞で音楽に重みを持たせようとする試みは虚しい。フェイがフェイたるゆえんは、すべてが一つに収束する終末論的寓話にあるのではなく、どこまでも発散する多様性にあったはずだ。