古館一郎の番組で美輪明宏の話を聞いて「人とは腹六部の付き合い」という部分に大きく…

■古館一郎の番組で美輪明宏の話を聞いて「人とは腹六部の付き合い」という部分に大きくうなずいたのは僕だけではないはずだ。人の心には踏み込んではいけない部分がある。「水くさいこと言わずに腹を割って話そうや」というのは、孤独の尊さを知らない無神経な人間が言うことだ。サラリーマンにはそんな人が多いけれど。
■半年ぶりにNOVAのVOICEレッスン(自由会話の授業)に行った。今日訪れた教室は初めてで、すべて初対面の教師だったせいか4時間英語を話しづめでさすがに疲れた。こちらが言いたいことを英語にするのは困らないが、「e」を「i」と発音するニュージーランド訛りの教師をはじめ、やはり聴きとりに神経をつかう。ただ、繋駕(けいが)競走(harness race)の御者の資格を持っている女性教師から御者の養成コースの話を聞けたり、なかなか面白かった。最後の男性教師とはたまたま他の生徒が帰宅して一対一になってしまったので、「日米企業文化の違い」や「ベビーブーマーのリーダーは日本の政治を変えるか?」というテーマでかなりハードな議論をした。彼ら英会話教師は日本企業の典型的なサラリーマンと同等か、それ以下の学歴しか持たないのに、そういった重い話題についても40分間議論できるだけの知識と教養を持っている。この点にはNOVAのVOICEに参加するたびに驚かされる(もちろん教師にもよるが)。たとえば僕が今日その教師と議論した日米企業文化の差異について、同僚のサラリーマンをつかまえてまともな議論になるかと言えば、たぶんならないだろう。理詰めで議論することについて、あちらとこちらでは基礎体力がまったく違うのだ。
■成長企業が成熟企業へ脱皮するときに出会う最大の問題は、経済的な問題ではなく、組織文化の問題である。成長期には強力なリーダーシップの下、「全社員一丸」となる体制がとりやすい。ちょうど今までの日本がそうであったように、成長期には均質な集団と強力な指導者の組み合わせがもっとも効率的だ。やがて企業が成熟期を迎えると、経営者が単一の方向を示して求心力を維持するのが難しくなる。成熟期には均質な集団よりも、多様な個性・価値を認める組織の方が環境に適応しやすい。しかしこれまでカリスマ的な社長が社員をひとつの「家族」のように教育してきた企業の場合、その意識転換はかなり難しい。プロパーの社員の間にはどうしても「身内」意識が残ってしまうようだ。古い社員ほどはっきりとした言葉でコミュニケーションをとるのが苦手で、お互い私生活にふみこんだ付き合いをしないと本音を話せない社員が多い。そのため、いったん社内規程などを決めても「弾力的運用」で骨抜きにされてしまい、遵法意識の低い組織になってしまう。当然といえば当然で、家族どうしで水くさいことを言い合うのがおかしいのと同じように、「擬似家族的社風」に慣れてしまった社員は、「みんな仲良く」することを単純に正しいことだと勘違いして、社員どうし水くさいことを言いたがらないのだ。中元歳暮のような虚礼がまだ残っていたり、オフィス内の禁煙が徹底していないなど、細かいところに「擬似家族的社風」はあらわれる。ただ、中途採用や派遣社員など外部の人間が増えてきたとき、そうした「擬似家族的社風」は非常に危険だ。外部の人間はもといたカリスマ的経営者の洗礼を受けていないため、「擬似家族的社風」を単なる「放任主義」と受け取る。つまり「この会社は何でもありなんだ」と受け取ってしまう。その結果、新しい社員をふくめた組織全体の遵法意識が低下する。知的財産権など新しい時代の法律リスクに対してひじょうに脆い組織になってしまうのだ。対策は二つある。一つは現在の経営者が社内に対してきめこまかな助言や教育をおこない、「擬似家族的社風」を維持すること。そうでなければ、「擬似家族」を完全にあきらめて、信賞必罰の合理的な組織に転換させること。カリスマ的経営者から経営を引き継いだ社長がこのどちらも実行できないなら、その会社は財務的に破綻する前に、組織として破綻するだろう。
■NHK『サイエンス・アイ』の再放送を見た。煙草のニコチン、タール表示は規定による測定結果にすぎず、喫煙者の吸い方(煙を吸い込む間隔と一回あたりの煙の量)によって大きく変動するし、銘柄によってはニコチンの吸収効率を上げるためのアルカリ性物質が添加されている場合もある(JTは煙草の添加物に関するデータを公開していない)。国内で一年間に煙草による健康被害が原因の死亡者は交通事故による死者をはるかに超えるという。ひとつ提案があるのだが、(1)煙草にかかる税金を引き下げる、(2)個別銘柄のテレビCMを再開する、(3)煙草に起因する病気や習慣性喫煙の治療にいっさい健康保険を適用しない。これらの組み合わせで煙草による健康被害を暗に促進し、喫煙者の平均寿命をさらに短くすることで、日本の年金制度を破綻から救うというのはどうだろうか。それが喫煙者に対する正しい「受益者負担」のあり方だと思うが。