日経BizTechのWebサイトで竹中平蔵氏が堺屋経済企画庁長官の「IT受講カー…

■日経BizTechのWebサイトで竹中平蔵氏が堺屋経済企画庁長官の「IT受講カード」を擁護している。論拠は2点。(1)IT受講カードは有効需要創出策ではなく、人的資源を高める長期的視野に立ったサプライサイド政策であること、(2)ITは読み書き能力の問題であり、希望者のみが受講すべきものではなく義務教育と同等であること。たしかに新聞がIT受講券を「ばらまき」と評したのは短絡がすぎるとしても、竹中氏の擁護にはまったく説得力がない。もし(1)のように長期的な人的資源育成が目的なら、IT受講カードが想定している90分8回、12000円分という受講時間はあきらかに不足だ。まったくのパソコン初心者が自分でパソコンを買ってインターネット接続できる環境を整え、インターネット利用のリスクを認識しながらオンラインショッピングや電子メールを楽しく使いこなせるようになるのに12,000円分の講座で十分なわけがない。また(2)のように義務教育的な位置づけであるとの擁護は、堺屋長官の「20歳以上の受講希望者」という計画と矛盾している。また氏は「日本はインターネット普及率で米国はおろかアジア諸国に大きく遅れている。リテラシー向上のために、他国にも例のない思い切った政策が必要だ」と論じ、日本のインターネット普及率の低さが、まるで情報リテラシーの低さによるものであるかのように論じているが、この議論にも無理がある。日本のネット普及率が低い最大の原因は、言うまでもなくNTTの回線接続料が高いことである。同じサプライサイド政策を言うなら、「通信インフラ整備・通信コスト低減」というサプライサイド政策によって、国民にネット利用のインセンティブを与え、それが結果として民間IT教育業者への需要を喚起するというのが、政府として正しい政策の実行順序ではないか。なぜインターネットに二の足を踏む国民がいるのか。それはインターネットが難しいからではない。できるかどうか分からないものとしては投資額が大きすぎるから、あるいは(通信速度が遅くて)思ったより大したことができそうにないから、である。通信インフラ・通信コスト問題をさておいてIT受講カードなんてことを言い出すから国民の理解を得られないのだが、堺屋長官も竹中氏もそこのところがよくお分かりでないようだ。最終的に「案外森政権は長期化するかもしれない」などと論をしめくくっているのだから、竹中氏はIT革命論者を標榜しながら、日本的な悪しき「寄らば大樹の蔭」主義に陥りつつあるのかもしれない。