転職活動中、履歴書の「スポーツ」欄に「水泳」としか書けなかった

■転職活動中、履歴書の「スポーツ」欄に「水泳」としか書けなかった。球技が不得意なので唯一できるスポーツといえば幼稚園のころから習っていた水泳だけなのだ。しかも「水泳」と書くにしたって夏でさえ泳ぎに行くことはなく、やってもいないスポーツを履歴書に書くのが「学歴詐称」ならぬ「スポーツ歴詐称」のようで軽い罪悪感を抱いていた。しかしこの夏から本格的に泳ぎ始めた。これほど足しげく温水プールに通うのは何年ぶりだろうか。泳ぐ快楽はいくつかのディテールに存在する。たとえばクロールなら、呼吸をするため顔を水から半分だけ出したとき、頬をなでて過ぎる水の抵抗。平泳ぎなら力強く水中をキックして全身が伸びた瞬間、ぐんと後ろへ流れ去る水中の景色。それらに共通するのは水の抵抗感。困難すぎる生活が憂鬱なように、安逸すぎる生活が退屈なように、ほどよい抵抗感は快楽をもたらす。