ユーロ安の評価がまっぷたつ

■NYタイムズと英『The Economist』でユーロ安について評価がまっぷたつに分かれている。英国はEU不参加組だから『The Economist』の方が酷評だろうと思ったら逆だった。今週の同誌はたしかに原油高を引き金にした欧州各地のトラック運転手たちによる抗議行動に対し、ガソリン税の減税を決めたフランス政府の腰抜けぶりを非難してはいる。しかしユーロ安そのものについてはきわめて建設的だ。
おそらく他方のNYタイムズが米国エコノミストたちの意見を代弁している。つまり「そらみたことか、ユーロなんて始める前から大失敗なんだよ」という意見だ。しかしNYタイムズの議論の大前提にあるのは「通貨はそもそも強くあるべきだ」という見解である。
『The Economist』誌はこの大前提そのものを疑問に付している。通貨が強いということよりもっと大事なことがあるのではないか?ユーロの登場によってEU参加国間のあらゆる経済障壁が低くなり、域内での市場競争が始まっている。英ボーダフォン社による独マンネスマンの買収が好例として挙げられている。それによって域内には効率的な商品・資本市場が広がりつつあり、欧州の経済はユーロのおかげで確実に成長しつつあるという論旨だ。
さらに円安が日本の輸出産業に有利であるように、ユーロ安は欧州域内の輸出産業にとっては追い風になる。現時点でユーロ安を欧州の凋落のように語るのは時期尚早だというわけだ。さすが『The Economist』。「通貨安=悪」という単純な発想にとらわれているNYタイムズの記者とは格が違う。むしろ要注意なのは原油高による米国のインフレ懸念だろう。