所用で一時帰国しているパリへ留学中の大学時代の友人と赤坂アークヒルズのフランス料…

■所用で一時帰国しているパリへ留学中の大学時代の友人と赤坂アークヒルズのフランス料理屋で会食した。友人曰く、パリから日本に戻ってきて思うことに、新聞の記事が浅薄すぎる、想定している読者レベルが低すぎる。同感。いつかこの「愛と苦悩の日記」にも書いたように、朝のNHKニュースでキャスターがやたらと「分かりやすく」を連発するのには腹が立つ。視聴者をバカにしているとしか思えないからだ。どう説明しようが分かりにくいことというのは存在する。全てを無理に分かりやすくする必要は全くない。すべてを分かりやすく、というおせっかいな努力をマスコミ始めあらゆる企業が継続すれば、日本人は深く考える能力の欠如した国民になること間違いなし。ここにも「誤った顧客第一主義」の悪弊がある。
■僕は札束で尻を叩かれなくても自分で努力する人間だ。そういう人間の尻を札束で叩けば、かえってやる気をなくす。でもそんな単純なことが分からない、高度経済成長下のモーレツ時代の残骸を引きずっている管理職も世の中にはいるらしい。日本の会社員は英米と比較すると、金銭的な動機付けよりも、組織への忠誠心や近しい人間関係からの励ましの方がはるかに有効な動機付けになる。同じ仕事をしたとしても「お前は実力があるんだからそれくらいやって当たり前だ」と言われるより、「さすが実力があるだけのことはあるな」と言われる方が士気は上がるに決まっている。ところが多くの日本企業は景気の低迷に自信を失って、そのような社会背景の差異を無視してアングロサクソン的制度を盲目的に導入している。ストックオプションや賞与連動の目標管理制度などがその典型で、どちらかと言えば「札束で尻を叩く」手法だ。深く考える能力を欠いた経営者たちは、日本でも金銭的な動機付けが有効であると思いこみ、長期的な成長・利益をみすみす指の隙間からこぼれ落ちさせている。札束で尻を叩かれなければ仕事をしない人間が、企業の長期的な成長に貢献できるはずがないにもかかわらず。