宇多田ヒカル『Wait & See』の良さ

■数カ月ぶりでCDを買った。宇多田ヒカルの新曲。シングルなんて普通買わないが『Wait & See』が異常に気に入ったし、『Fly Me to the Moon』もC/Wで入っていることだし、買わざるを得なかった。
『Wait & See』の何が良いか?まずAメロがいきなり7thの音で始まること。「回らないタイヤが...」や「リスクがーあるかーらこそー...」の16分音符のシンコペーション。そして何よりも「キーが高すぎるなら...」から半音上がっていきなり始まるCメロ。POPSで終曲近くに半音上がる場合メロディーはそのままなのが普通だ。それをアレンジで厚みのあるコーラスも重ねて雰囲気をガラリと変える。初めて『Wait & See』のPVを観たときはここで鳥肌が立った。
ついでに言えば「キーが高すぎるなら下げてもいいよ」という歌詞は自己言及的である。ここまでサビのメロディーは非常にキーが高く、上述のように普通のPOPSの慣習にしたがって同じメロディーのままキーが半音上がってしまうと、とてもじゃないけど歌えなくなってしまう。そこでメロディーラインはわざとオクターブ下がる。だから「キーが高すぎるなら下げてもいいよ」という歌詞になる。宇多田ヒカルらしい「遊び」だ。
しかもこれだけ豊かな表情のある曲を、非常にオーソドックスなFm→E→D→Cという循環コードだけで作曲して歌ってしまうのだから、彼女の才能に改めて感服する。こういうことが分からない人は倉木麻衣の応援でもしていれば良い。