いろいろな人と話していて分かるの

■いろいろな人と話していて分かるのは、僕という人間がふだん関心をもっていることのほとんどが自分の日常生活と遊離した事柄だということ。たとえば車好きの人は実際に車を持っているし、ダンス好きの人は現にダンスをしているし、華道好きの人はお茶会に出席している。なのに僕はアメリカに住んでいるわけでもないのに米国のマクロ経済政策に関心をもったり、ユダヤ人でもないのにフランスのパポン裁判に興味をもったり、一平社員なのに日本的経営を分析したりする。そういうわけで誰かにいきなり「あなたが最近興味をもっていることは?」と問われると、まずしばらく困惑してから、日常生活からかけはなれたものすごく大げさな問題について語り始めざるを得なくなる。ところが地に足のついた生活をしている人と一日、日常生活のなんでもないことについてつれづれに話していると、意外にそういう些細なことにも語るべきことがたくさんあることに気づく。
■『題名のない音楽会』に東儀秀樹(ご存じない方は東芝EMIのこちらのページを参照)が出演して、最後にオーケストラ編曲の『越天楽』を演奏していた。今更ながら笙(しょう)と龍笛(りゅうてき・横笛)が女性によって演奏されていることに気づいた。鎌倉時代以降の能・狂言・歌舞伎は男だけの世界だが、奈良・平安の雅楽には女性が当然のこととして参加していたということだ。