最近、社員が上司と一年または半期の目標を相談して決めて

■最近、社員が上司と一年または半期の目標を相談して決めて、それにしたがって業績評価・給与が決定されるという人事制度を導入する日本企業が増えている。もともと専門教育を受けて入社しているわけではないこの国の大卒を、入社直後から限定された目標で評価することで、実は日本企業は機会損失を被っていることに、いったい何人の経営者が気付いているのだろうか。正確には機会「損失」というより、機会「負債」だ。人間の能力はフローではなくストックだ。米国の大卒は一定レベルのストックを持った上で実務に入るのでフローで評価しても問題ない。しかし日本の大卒は実務のストックなしで入社するので、それをいきなりフローで評価すると、本来日本企業が持っていたOJTによる能力ストックの蓄積という機能が阻害される。目標で縛りさえしなければ芽生えたかも知れない能力をみすみす失い、企業は年々機会「負債」を蓄積していくことになる。この国で運用する場合、フローだけで評価する制度は年齢的に柔軟性を失う管理職以上だけに適用するのが当然であって、アングロ・サクソン企業がそうしているからと言って「右にならえ!」で全社員一律に適用してしまうところなど、日本企業の経営者の芸のなさ&欧米に対する抑圧された劣等感&日本の独自性を相対化し切れていない認識の甘さが如実に現れている。