スタン・ライ『暗戀桃花源』

■頼聲川(スタン・ライ)監督『暗戀桃花源』(1992年台湾)を観た。近所のTSUTAYAで借りてきたビデオ。この映画、劇場の予告編で観たいと思っていて、なぜか今頃観ることになった。主演は『恋する惑星』にも出演していたブリジット・リン。2つの劇団が劇場側の手違いで同じ日にリハーサルをやることになってしまったというトラブルが物語のベース。
一方は中国の古典喜劇『桃花源』、他方は終戦後の上海から現代の台北を舞台にした悲恋劇『暗戀』で、まったく違う演劇のリハーサルが、なぜか一つの「寓話」に収斂していくという、劇中劇をさらに複雑化したような構成が非常にうまい。たとえば中国大陸と台湾の関係を、桃源郷と下界の関係になぞらえる見方も可能だし、映画そのものがあまり説明的でない分、いろんな解釈の仕方が楽しめる。しかも劇中劇『暗戀』でのブリジット・リンの落ち着いた演技だけでも、十分泣かせるものがある。