フジテレビの「私刑」番組『愛する二人別れる二人』

■フジTVはたまに犯罪的な勘違いをしでかす。今日初めて見たのだが、『愛する二人別れる二人』という番組は法治国家という自由主義国家の原則を完全に無視した私刑(リンチ)番組だ。前にもフジTVは軽犯罪の現場をおさえて反省文を書かせるという番組をやっていた(有料露天風呂を管理人がいないのをいいことにタダで入浴している現場など)。
『愛する二人別れる二人』は本来家裁であつかうべき離婚を法律知識が皆無の芸能人が意見をするという番組だ。こういう番組が当然のように放送されること自体、日本人の遵法精神のなさをハッキリ表している。
よく考えてみて欲しい。なぜテレビ局や芸能人が家裁の機能を果たしうるのか?明らかに越権行為だ。法律に基づかず他人を裁くのは私刑(リンチ)以外の何物でもない。日本人がこういう番組に疑問を感じないのは「いざとなったら法律なんてあてにならない」というあきらめがあるからだ。この遵法精神の欠如こそが総会屋のような前近代的な犯罪組織の温床になっている。
たとえば今日放送分の婿養子の問題にしても、まるで婿養子の男性が無条件に悪者で、金を一銭もうけとらずに出ていくのが当然のような話になっていたが、法律的に見れば彼にも何らかの金銭的な補償を請求する権利はあるはずだ。だが、ただ人生経験が長いだけの芸能人は「常識」というあてにならないモノサシで勝手に彼を悪者にしてなだめすかし、彼が本来持っているはずの権利を完全に無視していた。
テレビ局としては相談が持ち込まれたとしても「家裁に行って下さい」と断るのが一企業としての良心だ。視聴率になるからといって番組で取り上げ、一人の人間の権利を蹂躙した上に見世物にするとは、フジTVだけでなく番組スポンサーの良心も疑う。こういう番組をつくってしまうマスコミの無神経さこそが、弁護士不足など日本の司法制度を弱体化させ、法治国家という原則をゆるがしているのだ。