『ABCマネジメント革命』

■ちょっと事情があって、今さらながらABC(Activity Based Costing)の翻訳書を読み始めている(『ABCマネジメント革命』日本経済新聞社,1995年)。なぜ「今さらながら」なのかというと、実はシステムエンジニアをやる前、工場経理で原価管理を担当していたからだ。この本を読んでいると「唯一の正しい製造原価」なるものは存在しない、という当たり前のことを再確認させられる。
直接材料費や直接労務費は間違いようがないが、工場の管理部門の費用など(間接費)を、各製品別にどう配賦するかで、個々の製品の原価はぜんぜん違ってくる。伝統的な標準原価計算は作業時間・機械時間・生産高など2、3のパラメータにしたがって、おおざっぱに間接費を配分するが、ABCはコストの変動要因をきめ細かく分析して緻密に計算する。
製品原価が計算によって変わるということは、各製品の損益も変わるということだ(売上-原価=利益)。本当は儲かっているのに、儲かっていないと判断されれば、製品戦略(プロダクト・ミックス)や投資計画など経営上の意思決定まで間違うおそれがある。こんなこと自分が原価計算の実務にかまけていたときは、じっくり考えもしなかった。今になってやっとABCの価値が分かってきた。伝統的な原価計算の外側に立たなければ分からないことがある。残念ながらこのことに気づかせてくれる先輩はいなかった。いずれにせよ、単にたくさん経験を積むだけではダメで、それを反芻してこそ自分の身になるってことっすね。