米PBS『THE NEWS HOUR with Jim Lehrer』

■このページの在米の読者の方にすすめられて以来、NHK衛星で深夜に放送されている米PBS「THE NEWS HOUR with Jim Lehrer」を録画して観ている。最近は毎日、大統領弾劾裁判ネタで、law schoolの学生を呼んで討論させたりなかなか面白い企画もある。弾劾裁判の中継画像がダイジェストで放送されるのだが、大きなパネルに裁判資料からの引用を拡大し、その一字一句を論拠にしながら厳密に議論を進めていくスタイルは「まるで哲学の論文だな」と思った。
でもこれは逆で人文科学の論文が裁判をモデルにしているのだろう。社会科学や自然科学は実地調査や実験を基に仮説を検証するスタイルだが、人文科学の論文は、たとえばデカルトを論じる場合、デカルト自身の論文や、デカルトについて誰かが書いた論文を、まるでそれぞれの著者に裁判所で証言させるようにして順番に引用しながら、誰が正しいのかを明らかにしていくスタイルだ。僕もそういう思考プロセスに慣れてしまっているので、どの意見が一番正しいのかを常に考える。でも実はこの思考プロセス、サラリーマンとしてはふさわしくない。サラリーマンは弁護士や裁判官ではなく、政治家だからだ。つまり、正義につくより、力につく者が生き残る。考えてるヒマがあったらゴマをすれ。(もちろんこれは皮肉だよ)