一人暮らし未経験者にイラつく

■30歳近くになって一人暮らししたことがない、ということ自体は別に悪いことじゃないんだけど、ちょっとイライラさせられる知り合いがいる。それはパーソナル・スペースというものに関係している。人間には一人ひとり、それ以上近づいて欲しくない距離というのがあるらしい。大学時代の社会学の講義でそんなことを習った。動物で言う「なわばり」だ。
彼は自分のパーソナル・スペースの尺度で他人との距離をとるので、こっちは気分が悪いのだ。必要以上に近づきすぎるのである。職場でこちらが椅子に座っていて、ちょっとした打ち合わせで彼がそばに立つと、体が触れるほど近くに立つ。ホームで電車を待っていると、ごていねいに僕の方へ体を向けた上に、息がかかりそうなほど近くに立つ。
僕の経験則から言えば、一人暮らしの長い人間ほどパーソナル・スペースが広くなる。理由は単純で、家族と住んでいる人間は、つねに身近に人の気配を感じながら生活しているからだ。とくに僕の場合、職場でおしゃべりな人間が隣に座っているだけでストレスになるので、体が触れるほど近くに立たれた日にゃあっ、って感じ。相手は何も悪くないので、何も言えないのだが。
■日曜日の夜8時、「ごっつええ感じ」が打ち切りになってから見る番組がないので、特命リサーチとかいう、いかにも日テレらしい眉つば番組を見ていた。「キレる」原因は何かということについて、もっともらしい通俗科学的な説明を延々とやっていたが、完全な間違いを発見した。番組で「キレる」例としてあがっていた3例が3例とも、男がキレるというパターンだった。ここでもジェンダー分析の視点が完全に欠如しているのである。
男性は「キレる」ことを社会的に容認されている。それに対して女性は「キレる」ことを回避するコミュニケーション技術を幼いころから訓練されている。この性差こそ、男性が「キレる」ことの大きな原因である。性別に関係なく「キレる」ニュートラルな原因なんてそもそも存在しないのだ。
そんな当たり前の観点が、このエセ科学番組には完全に欠如している。まあこんな下らない番組に文句を言っても仕方ないが、みなさんも「特命リサーチ200X」は、飽くまでお笑い番組として見るようにしてくださいね。こんな番組をやるから、日本の理系学部の衰退みたいなことが言われるんだよまったく。