エドワード・ヤン『海辺の一日』

■エドワード・ヤン『海辺の一日』1983年台湾。彼の長編第1作とは思えない完成度。回想シーンにさらに回想を重ねる再帰的なカットバックの手法によって、いくつもの時間の流れがたがいに重なって透けるよう。成瀬巳喜男の『山の音』を思い出させるような、朝もやに浮き上がる光の筋。映像の美しさも輝くよう。台詞を最小限に切りつめ、表情や小道具、映像にすべてを語らせる。そしてその静謐な映像によって、幸福な結婚生活がゆっくりと音もなく崩壊していく様を淡々と描く。E・ヤンは間違いなく台湾におけるアントニオーニ。
それにしても、主人公の女性が父親のことを「お父さん」と呼び、母親を「お母ちゃん」と呼び、日本語で教える生け花教室に通っていたのはなぜなのだろう?台湾の上流階級では普通のことなのか?それとも彼女が日本語を使うこと自体、何かを含意しているのか?だれか知ってたら教えてください。