塩野七生の中途半端なフェミニズム

■今、日経新聞に『女たちの静かな革命』というひじょうに面白いコラムが連載されている。先月そのコラムに塩野七生が「仕事で男か女かということは関係なく、女らしくできる仕事などない」と書いたことに対して、賛否両論があった、ということが今日の朝刊の同コラムで報告されていた。
「仕事に男も女も関係ない」というのは、リベラリストの塩野七生らしい意見だが、残念ながら彼女はウーマンリブ以降のフェミニズムにあまりに無知のようだ。今の社会で、「仕事に男も女も関係ない」と言ってしまうことは、「過労死もいとわないほどの男たち並みに仕事をする気のない女は、男よりも安い月給で働かされて当然であり、いわんや家事労働に経済的見返りを期待するのはナンセンスである」という意味になってしまう。塩野七生はそのことを分かっていない。
フェミニズムは、今の時代の男らしさの価値を無批判に受け入れて、女たちが自分も男並みになることを目標にするのではない。そうではなくて、今の時代の価値観を作っている男たちの発想そのものに対する異議申立てであり、塩野七生が思っているよりももっと深い価値観の転倒である。
その意味で、今日の朝刊に紹介されていた塩野七生への異議の中では、「女性が家事を担ってきたことは恥ずべきことではない。他に選べなかったことが問題なのだ」という30歳の主婦の方の意見が、塩野七生よりもはるかに的を得ている。