ダグラス・サーク『悲しみは空の彼方に』

■ダグラス・サーク『悲しみは空の彼方に』1959年アメリカ。ハリウッド・メロドラマと一口に言っても、サークには甘さがない。例えばこの作品のヒロインは恋愛結婚の幻想に身をゆだねることなく、生涯自分の夢を追いつづけ、実現し、女優として生きる。彼女の家政婦として働く黒人女性は、蒸発した白人男性との間に生まれた娘が、黒人の血をひた隠しにして自分につらく当たるのに苦悩するが、その苦悩は死ぬまであがなわれない。
『心のともしび』も、本当の善意の厳しさをヒロインが死の淵に立たされるまで追いつめる。確かにハッピーエンディングではあるが、その幸福がどれほどギリギリの選択の上に成立っているかを描く。それが、キャプラの能天気さと対象的だ。