ベルイマン『ファニーとアレクサンドル』

■イングマール・ベルイマン『ファニーとアレクサンドル』1982年スウェーデン=フランス=西ドイツ。311分。5時間以上の映画を観たのは、学生時代に観たベルトリッチ監督『1900年』完全版の8時間以来。『1900年』は二人の男の一生を描いたものだが、『ファニーとアレクサンドル』はある大家族の2年間のドラマ。
ほぼ全シーンが室内劇でありながら、ベルイマンは人生のすべてを描き出すことに成功しているように思える。想像力は情念を形にする。舞台では描き切れない部分を、ベルイマンは映像の力を借りて形にする。死者の思いは残された者の心に生き続け、幻想と現実のチャネルを開き、そこに初めて豊饒な世界が展開される。ベルイマンのこの作品は、そのような映画だ。